500文字の鵲ショートショート

毎日500文字のショートショートを記します。

孫娘は宇宙飛行士になるだろ。

新月の夕暮れから空を見続けることは今の時代、カメラ任せになってしまうのかもしれない。北極星を中心に輪を描くように夜の星は皆一夜の間に動く。それは膨大な数の星の軌道を現す縞模様だ。孫娘はいくつ星座を見つけられるだろうか。星座は確か小学生の時に習ったはずだ。児童館の天体望遠鏡であの有名な76年周期で来るハレー彗星を見た時が始まりだった。それから私が覚えたのは、矢の形を作るカシオペアと北斗七星、その真ん中の北極星、オリオンの三つ星、小三つ星。ケフェウス座アンドロメダ、アルタイル、冬の大三角形シリウスプロキオン、ベガ、白鳥座、ペガサス座、プレアデス星団、ふたご座、カストルポルックス。季節で南の空は代わる。夏の蠍座のアンタレス。火星、木星、金星。そのうち大きくなったら野辺山の電波望遠鏡を2人で見に行くとしよう。ハワイのマウナケア山にあるスバル望遠鏡も見せてみたい。まさか私が生きている間に、月旅行は行けそうもないからハッブル宇宙望遠鏡は孫娘に託すとしよう。今のうちから孫娘の頭の中に天文学者か宇宙飛行士の種を播いておくとするか(笑)と灯りを消した風呂の中で宇宙に行ったつもりになって考えた。