500文字の鵲ショートショート

毎日500文字のショートショートを記します。

アンモナイトの枕。

アンモナイトの化石は化石の好きな人にはいつも人気がある。私も特別に大切にしている。大理石の壁を丹念に観てみると運良く尖ったアスパラガスのような模様や渦巻き模様を発見することがある。それは化石だ。私はヒマラヤ山脈の高所にアンモナイトやその他の化石が詰まっている宝物の地層があることを知っている。ヒマラヤ山脈が元々海の中にあった証拠なのだが、そこに私の特別なアンモナイトがある。両腕で輪を作った位の、形の整ったアンモナイトだ。そのアンモナイトはまるで王様のように威厳を示した。私はそこへ行く度に王様アンモナイトと時間を過ごす。私は迷っていた。地上に降ろすか。このままにしておくか。王様は地上に降りたくないかもしれない。ヒマラヤの階にアンモナイトと2人でいた。豊かな生命の証が地層には残されている。研究者としてよりも同じ生命体として私は地層の化石たちやアンモナイトと話をする。約4億3730万年前から繁栄していた時代の地球を教えてくれる。人間のいない時代の地球の話。ヒマラヤの高い所からアンモナイトはきっと観ていた。人間が登場してから繁栄していく様子を。神に仕える王様アンモナイトは今何を思っているだろう。