500文字の鵲ショートショート

毎日500文字のショートショートを記します。

楼蘭。

ある日、商社に勤める秋元の所へ1通のメールが届いた。差出人は2050年に設立された国連の機関である人類研究所からだった。人類の歴史を精査するそうだが、何をやっているのかは謎が多い。この頃には全人類にマイナンバーが提供され、更に各個人の遺伝情報も紐付けされていた。秋元は未知の世界からの招待に戸惑った。その上所長を名乗る人物が先日直に連絡してきたのだった。「秋元さんですか私は先日メールを差し上げた人類研究所の所長をしとりますゲルトマンと申します」「はあ」「実はですの、秋元さんにぜひとも逢わせたい方がおりまして、これはもうぶっちゃけ、私の職権乱用なんですがね、あははは」酒が入っているような陽気さでゲルトマンは話を進める。結局、秋元は休暇に極東の研究所を訪ねることになった。ゲルトマンは秋元を歓待した。「秋元さんよく来てくれました。さあさあご一緒にこちらへ」と案内する。「この方を秋元さんにご紹介したかったんですよ私の夢が叶いましたな」ゲルトマンは鉄の引出しを開けるとそこには、かの楼蘭の美女と言われたミイラが保存されていた。「秋元さんの遠いご先祖様にあたる方ですよ」ゲルトマンは満足そうに説明する。