500文字の鵲ショートショート

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環太平洋造山帯。

環太平洋造山帯の火山活動が20xx年頃から活発化した。温暖化の影響で、海水温と地表面との温度差や、極地と赤道付近の海水の流れが今までと異なってきた。地球を巡る海流の、大きな流れを失いつつあった。寒暖の海流が滞れば、海に不毛の領域が増加する。海が機能不全になれば大気や気象に影響が出る。そして火山活動による大気汚染が懸念され多くの生態系が被害を受ける事になった。ヒマラヤ山脈付近は氷河の氷解が進み水害が絶えず起こり、地元住民は集団での転地を余儀なくされる。海洋生物学者のリンデル博士は鯨の専門だが、毎年鯨が繁殖の為に回遊するルートを調査保全にあたっている。環太平洋造山帯の活動が鯨の繁殖に影響を及ぼすとリンデル博士は考えていた。鯨は明らかに、今までとルートを変えたようだった。繁殖地に集まる頭数も減少している。このことから繁殖地にたどり着けない鯨が増えているのではないかとリンデル博士は調査を進めている。各海域の環境は海流の滞りと酸素含有率低下と水害、火山活動の影響もあり水質が悪化している。大規模な青潮赤潮が発生することが多くなった。水産業界では網の中に死んだ魚介類が増え続け、死活問題になっている。